
こんにちは。
ステキコンテンツ古川です。
今日はステキコンテンツ代表で小説家の「中村航」の話をします。
彼との出会いは大学時代にさかのぼります。
平成元年、僕は1年浪人して芝浦工業大学に入学し、軽音楽のサークルに入りました。
入学前から計画した通り、バンド活動を始めるためです。
ギターのコードが多少弾けるくらいで、バンド経験なんてこれっぽっちもないのに、やる気と創作意欲は満々でした。
僕は新入生歓迎会で先輩たちのウケを狙い、当時大流行していた長渕剛のドラマ「とんぼ」の小川英二が海に入っていく格好で登場しました。
黒いハット、黒いレインコート、そして黒い傘を無印良品で調達したのを覚えています。
そんなの、ウケるわけがありません。
駄々スベリです。
正確には、優しい先輩方がお情けでリアクションをしてくれていたような。。。
だけど、一人だけバカ受けしてくれた先輩がいました。
それが中村航です。
彼は生まれ年は同じですが、僕が浪人していたので1年先輩に当たります。
以来、僕は中村先輩にかわいがってもらうようになりました。
僕の地元が名古屋、中村先輩が大垣で故郷も近く、話も合いました。
中でもプロレスの話は盛り上がりました。
僕は長州推し、中村先輩は天龍推しだったような気がします。
後に何度もプロレスの試合を観に行きました。
北尾のデビュー戦を観るために東京ドームへ行ったのですが、チケットが完売で入場できず、ドーム脇の部屋のカーテンの隙間から小さいモニターが見え、それを二人で覗き見したのを覚えています。
ある日中村先輩が僕の住むレオパレスにいきなりやってきて、「ドライブに行こう」と誘ってくれました。
初のマイカー「スカイライン」を手に入れたとのこと。
結構遅い時間だったと思いますが、中村先輩、僕、あとは別の先輩一人と同期のマツモの4人で軽井沢へ向かいました。
人生初のミッドナイトドライブです。
軽井沢のどのあたりだったか、もう30年近く前なのでまったく覚えていませんが、あの夜の星空だけは忘れません。
周りに何もない高台の真ん中に立って、夜空を見上げました。
星に手が届きそう、という表現がありますが、まさにそれです。
届くというより、銀河の中にいるような錯覚を覚えました。
あれは僕が見た景色の中で、いまでも一番美しい景色トップ3の一つです。
同期のマツモがなぜかスネアドラムを持参しており、それを一発、スティックで打ちぬきました。
パン!
真夜中の星空に音が吸い込まれていきました。
僕たちも吸い込まれそうでした。
中村先輩の不安な運転で、道に迷いながら埼玉東大宮に帰宅したのは午前8時頃だったと思います。
その日、僕ははじめて大学の講義をさぼってしまいました。
サボりはその日から続き、僕は大学へ行ってもサークルのたまり場となっている音楽ホールにしか顔を出さない毎日が始まりました。
授業に行かず、音楽の仲間とただ楽しく過ごす日々。それが2年続きます。
傍から見るとダメな生活ですが、あれは僕にとっての黄金期でもあり、無敵期であり、なくてはならない放牧期間だったと思います。
その時期に、ずっと僕のそばにいたのが中村航でした。
(続く)
Comments